2019年 シュタイナースクール訪問

 
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2019年6月、オランダの、まだ出会ったことのないたくさんの方々のご厚意によって、シュタイナー教育を中心としている小学校、幼稚園の訪問をさせていただけることになりました。授業を見せていただいたり、教員の方々のお話を聞きます。

また、子供達をその学校に通わせているお母様方にお会いしてお話を聞かせていただいたり、勉強システムやカリキュラムを教えていただいたり、完成した工芸作品を見せていただきながら、家族とのつながりについて語っていただける、貴重な機会もいただきます。

2017年夏、21年ぶりに帰国して以来、日本の子供たちの病んだ心の事情、家庭のつながりの薄さ、そしてそれをつくってしまった大人たちの社会に根付いている、不安や疑い、競争を知った時、とてもとても辛かったのです。オランダで子供たちにピアノを教え続けながら、オランダ人の家庭を知り、その愛の強さを学んでいた私には、信じられませんでした。日本の人たちがそれなりに楽しいと感じている、そんな中にまで、繊細な心を病ませてしまう亀裂があるのがたくさん見えたのです。人と人の心が深いところで繋がり、信頼によって築かれる愛や豊かさを知り、感じ、人生で充分に経験してほしい、それを可能にする柔らかでで感性豊かな社会に変わってほしいと願いました。そのために私ができること・・・それを行動として起こしてゆこうと決心しました。

2019年春、オランダ人には考えもつかななかった、日本の子供たちの自殺率の高さ、またひきこもりやいじめの現状を、オランダ人たちが共有するソーシャルメディアで伝えました。そして、世界で一番幸せとランキングされ続けるオランダの子供達の様子や学校のあり方、家族との繋がりを日本に伝えたいと公表した時、予想もしなかった大勢のオランダ人が、私を応援し、助けを提供してくれたのでした。彼らは、自分たちの学校のクラスや、家族との生活を私に開放してくれる連絡をくださりました。恥ずかしさを捨てて、下手なオランダ語で書き、肩書きも経験もない私がこんな風に行動するのは、自分でも全く無謀としか思えません。不安を、自分で毎朝言い聞かるように勇気でもって包み込んで、一歩一歩進んでいます。そんな風でも、まだ会ったことのないたくさんの人々が、メッセージを送り続けてくれ、力強く私を応援してくださっています。それにしても、私の人生に何が起こったのでしょう!この人生でこのような素敵な人々とつながりと、愛と、そしてそれを味わえる時間をいただく機会ができたこと、本当に驚きです。

神様は、なんて素晴らしい豊かさを私に与えてくださったのだと、心から感謝しています。そして、この愛を、どうか日本の子供達やその家族の方々、さらには社会に良い影響をもたらしてゆくくらいに届けてゆけるよう、頑張って行きたいと思います。

秋には、今回の訪問レポートをまとめたレクチャーを行う予定です。でもそこでは、ただオランダがいいから真似をしなさい、と主張したいのではありません。これから人生を歩み、社会を作ってゆく子供達のために、ここに生きる私たちがどう変われるのだろう、どこに向かってゆけるのだろう、と、一人ひとりが考える機会を促したいと願います。そして実現のための小さな行動を今すぐに始められるような、そんな意識の改革を提供させていただきたいと思っています。

そして私自身、それを出発点として、さらになにができるか、可能性を探ってゆきます。

Yoko Kobayashi